ローカル線の電車の中での不思議な体験
大学のサークルの合宿だったか旅行だったか、宿泊先に向かって仲間と東北地方のローカル線に乗って移動中のことです。
車窓からの風景は、山、民家、畑、田んぼ、森林…。延々と続きます。
ものすごい田舎っぷりに癒されつつ、みんな車内ではしゃいでいました。
総勢10名くらいの旅行だったのですが、車内はガラガラだったので数人ずつのグループに分かれて、おしゃべりに夢中になっていました。
乗ってから1時間くらいしてからでしょうか。
少しテンションは下がってきて、ウトウトする人も出てきました。
朝早く起きてますし駅弁食べた直後ですから無理もありません。
本を読んでいた私がふと気づくと、私以外、全員寝込んでいました。
そして次の駅に到着し、ドアが開いたらおばあちゃんが一人乗ってきました。
え?おばあちゃん??
腰も曲がり切って、100歳近いかと思われるおばあちゃんが、私の横に座りました。
カタタン・・・カタタン・・・。
しばらくしてから、おばあちゃんが私に食べるかい?どうぞとミカンを差し出してきました。
あ、どうも。いただきます。
カタタン・・・カタタン・・・。
「たのしそうでええねえ・・・。みんな学校のお友達かい?」
もごもごしながら話しかけてきました。
ええ、サークルの合宿で・・・なんてたわいもない話をしていました。
カタタン・・・カタタン・・・
わしにもまごがいての・・・。でも8歳で別れ別れになってしまってのう、そりゃあ寂しかったもんじゃ。
これから大人になっていい人見つけて結婚して子供ができるんじゃから、しっかり正しく生きなきゃいかんよ。こどもは親の背中をみて育っていくんじゃからのう・・・。
え?もしかして亡くなったおばあちゃん??
話し方、亡くなるまで口癖のようにいつも話していた結婚の話。
あまりにもそっくりでした。
ちなみに私のおばあちゃんは私が8歳の誕生日を迎えた直後に亡くなっています。
驚きながらも長々とお話を聞いていると、次の駅に到着。
ほかのメンバーが起きると同時に、「んじゃあな。げんきでな。」とにっこり手を振ってから、おばあちゃんはホームに降りて行ったのでした。
もしかしたら、亡くなったおばあちゃんが私に説教しに来てくれたのかもしれません。
不思議で懐かしく、ちょっとうれしく感じた体験でした。